美しさとは、決められたかたちに収まるものではなく、その人がどんな思いを抱え、どんな時間を生きてきたかの軌跡なのかもしれません。自由でしなやかな精神を持った「うつくしい人」を訪ねるこの企画。第5回目は、お笑いコンビ・レインボーの池田直人さん。
コントで女性役を演じるなかで美容と出会い、肌荒れに悩んだ経験をきっかけに“隠す”メイクから、自分の肌を活かすためのケアへと意識を転換してきました。スキンケアやメイクを通して自分自身と向き合い、やがてそれを仕事やライフスタイル、オリジナルコスメブランド「makeumor」へと広げていく——池田さんが語るのは、美容が人生を彩っていったプロセスそのもの。そんな池田さんが考える「美しさ」を紐解きます。
相方のジャンボたかおさんと、男女の恋愛模様や友人同士のリアルなやりとりをコントにしている池田さん。コントで女性役を演じるなかで美容に興味を持ち始め、その完成度を高めるために「美容を頑張りたい!」と意気込んでいた24歳の頃、ひどい肌荒れに悩んでいたといいます。
「顔中ニキビだらけでどうしたらいいんだろうと毎日悩んでいました。とにかくコンシーラーを厚塗りして“隠す”メイクをしていましたね。そしたらどんどん肌の状態が悪くなってしまって。『美容を頑張りたい』と発信し始めていた時期だったのになんの説得力もなくて焦っていました」
肌荒れ当時の池田さん
テレビ番組に出演しても、化粧が取れていないか、ニキビが隠し切れていないんじゃないか、と常に肌の心配ばかり。何から手をつけたらいいかわからず、さまざまなスキンケアプロダクトを試したといいます。
「最初に見つめ直したのは化粧水と美容液。自分の肌を観察していくうちに、おでこと顎はオイリーっぽいからニキビができやすく、頬は乾燥しやすいといった特徴がわかってきて。肌質が違うのに全部同じスキンケアでいいわけないと気づいていろんなコスメを試しました。一度、高価なスキンケアラインを『めっちゃ高いな…』と思いながらも買ったのですが、使ってみるとみるみる良くなっていったんです。そこから成分が近いお手頃なものを探して日常使いしていました」
肌荒れする原因を根本的に改善したいと考えインナーケアにも気を配っていたという池田さん。ニキビを“隠す”から“治す”、“治す”から“作らない”というふうにケアが変化して、自分の健やかな肌を活かすための美容を楽しめるように。美容にかける思いが高じて、日本化粧品検定協会が認定する最上位資格「特級コスメコンシェルジュ」の資格を取得。「知識を持っていることで人ともより深く美容について話すことができる」という池田さんにとって、今、スキンケアは自分を癒すひとときになっているといいます。
「僕、『洗面台でのスキンケアはやめましょう』ってみんなに言っているんです。洗面台でスキンケアをするのって、僕からすると立ってごはんを食べている感覚。朝は僕もスピード重視でオールインワンを使っているんですけど、夜のスキンケアは、好きなドラマを観たり、ラジオを聴いたり、好きな人と電話したりしながら、ゆっくり時間をかけてやっています。だから洗面台ではなくリラックスできる場所で、好きな匂いや好きなテクスチャーのものをじっくり肌に馴染ませて、ほっと一息つくのが幸せです」
かつての自分のように肌のゆらぎによって気持ちが下がってしまったり、自信が持てなかったりする人に向けて、池田さんは「まずはドラッグストアに行ってみましょう」と優しく語ります。
「自分の肌の何が気になるか言語化できていない人も多いと思うので、まずドラッグストアで気になるキーワードを見つけてみてほしいですね。たとえば『ニキビ』って書いてあって、それに反射的に『お!』って感じたら、実はニキビが気になっている証拠だと思うんですよ。自分が無意識に何を気にしているのかを気づけるので、ドラッグストアにまず行ってみるのがおすすめです。僕はそうやって今自分が何が気になっているのかを確認して、とにかくいろんなコスメを試しています」
美容に対する熱量がどんどん増幅し、YouTubeチャンネル『レインボー池田直人の美しちゃんねる』での情報発信や、オリジナルコスメブランド「makeumor」でのプロダクト開発など、池田さんは今さまざまなかたちで美容を楽しんでいます。
「ブランドは企画書を持って8社にプレゼンして、ご一緒できる会社さんを見つけました。makeumorって“メイク”と“ユーモア”を組み合わせた造語なんです。僕自身、美容にハマってからスキンケアだけじゃなくて、ピラティスやジムに行ったり、ネイルをしたり、隙間時間に美容のことを詰め込んで楽しんでいて。少し美容をしてみるだけで違った自分に出会えて楽しいし、ブランドを通して楽しく笑顔でいるのがいちばんかわいいってみんなに伝えたいです」
makeumorには、「“make you more=あなたをもっとかわいく元気に”という思いも込められているんです」と池田さん。そんな池田さんは「美しさ」についてこんな考えを持っていると最後に話してくれました。
「美しさの総量ってみんな一緒で、育った環境や培ってきた考え方によって、いい意味で偏りが出てくるんじゃいかなと思うんです。たとえば相方のジャンボは“きれいに食べる”ということに誇りを持っていて、それも間違いなく美しい。僕の場合は美容を大切にしていて、見た目をきれいにすると内面も引き上げられる感覚があるんです」
「だって、ドレスやタキシードを着たらみんな立ち振る舞いがきれいになりますよね。シェイクスピアは『ひとりの人間がその一生のうちに幾つもの役を演じる』と言っていますが、僕もコントをしていると役ごとの喋り方や立ち方になります。きっと見た目に性格がよっていくと思いますし、これからもメイク技術を向上させて笑っちゃうくらい美しくなりたいですね」
makeumor
https://makeumor.com/