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いいところを見つければ、美しさに変わる。松田未来さんの「自分を好きになるコツ」

美しさ。それは一人ひとりが持つ輝き。決まりきった概念や言葉では言い表すことのできないもの。さまざまな美しさを知るために、自由で、しなやかな精神のもと、新たな価値観を生み出す“美しい人”を訪ねます。第2回目は、ヘアメイクアップアーティストとしての活動をはじめ、コスメブランド「rihka(リーカ)」のディレクターや、ラジオ、執筆と、幅広く活躍する松田未来さん。「誰もが自分を好きになって、自分らしく生きていくお手伝いをしたい」という使命感は、どこから湧き出ているのでしょうか?

行きたい方向だけ決めたら、今できることを。0.1歩ずつでも進んでいけたらいい

未来さんが東京でヘアメイクアップアーティストの仕事をスタートしたのは、30歳を迎えてから。大阪のヘアサロンに11年勤務し、店長やディレクターも経験する中で、上京を決めたことに驚く人もいたといいます。

「私としては、全然『挑戦!』という感じではなく、ヘアメイクの仕事をもっと頑張りたいと思ったら、東京の方が適していたというだけで。タイミングや年齢にも、あまりこだわっていなかったんです」

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仕事もツテもなく上京を決めた未来さんですが、不安になったり、焦ったりするようなこともなかったといいます。そんな自分を「超マイペース」だと笑いながら、自然とこんな考え方を身につけてきたのだそう。

「行きたい方向だけ決めたら、そのために今どうすればいいかと逆算するのが好きなんです。例えば、目の前にすごく散らかっている部屋があって、今すぐきれいにしなきゃと思ったら、何から手をつけていいのかとパニックになってしまうけど、1週間先にきれいにすると目標を決めれば、『まずはダイニングテーブルから拭こう』とか、今できそうなことが見えてきますよね。たとえ忙しくても、この1時間で、今日1日で、と考えてみると、やれることが見えてくる。そうやって1日0.1歩でもいいから進めることができたらいいって思っているんです」

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「明日の私が楽しみ」と思える、光と救いになれたら

現在、ヘアメイクアップアーティストという枠を超え、ブランドディレクションや、ラジオパーソナリティ、執筆など、幅広く活躍する未来さん。そうした活動すべての軸となっているのは、「誰もが自分を好きになって、自分らしく生きていくお手伝いをしたい」という想いだと語ります。

「自分のことをいいなと思えたら、やっぱり元気になるじゃないですか。もちろんそう思えないときだってあるけれど、自分を自分で認めることができたら、そういう波も含めて人生悪くないと思えるような気がして。そのために私ができることがあったら、何でもしたいという気持ちなんです」

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そんな未来さんが2020年に立ち上げたのが、コスメブランド「rihka」です。名前に込めたのは、「世の中の頑張るすべての人に、“光”(hikari)と“救い”(sukui)を」というメッセージ。

「そもそも私が美容師になったきっかけは、15歳のとき、初めてパーマをかけて『私、可愛くなれたかも…!』と自信を持てたことでした。あの気持ちは私にとって光だったし、救いだったと思うんですよね。そんなふうに『rihka』のコスメを通じて、自分を好きになれたり、自信が持てたり、明日が楽しみになったりしてくれたらすごく嬉しいなと思います」

多くのコスメブランドが、リップやアイシャドウなどのアイテムを主役にする中、「rihka」のファーストコレクションに選んだのは、ネイルでした。

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「初めてネイルケアサロンで自爪をきれいにケアしてもらったとき、すごく衝撃を受けたんです。サロンの帰り道に自分の爪を眺めながら、ものすごく自信が溢れてくるというか、『どこから見られても大丈夫!』という気持ちになって堂々と歩けたんです。こんなに小さいパーツなのに、爪の力ってすごいなと思いました。そんな自分の体験から、絶対にネイルから作りたいと決めていました」

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さらに、ケアすることがより楽しくなるようにと、こだわったことの一つが“色”です。

「例えば愛猫マドレーヌの肉球の色や毛の色、お茶にお菓子の色など、日々の生活の中で、この色かわいいな、美しいなと思うものを再現しています。たとえ同じ色であっても、そこに載ってくるストーリーがあると、使うときのときめきやワクワク感も変わってくると思うんです」

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そんなネイルは新色が発売されるたびに即完売。現在は、リップやフェイスパウダー、アイシャドウ、アパレルと、未来さんの想いとともに「rihka」の展開も広がり続けています。

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嫌なことも、いいところを一つ見つければ美しさに変わる

未来さんが一貫して伝え続ける「自分を好きになって、自分らしく生きていく」こと。そうなれたらと思いながらも、難しいと感じる人には、こんな言葉をくれました。

「実は私、『私なんて』と、思ったことが1回もないんです。私を否定するということは、大好きな両親や祖父母を否定することになってしまうような気がしてしまう。大切な人たちのおかげで私がいる、という、ちょっと客観的に自分を見るような感覚が常にあって、だから落ち込むようなことがあったり、うまくいかないことがあったりしたときにも、まるで友達を励ますように、自分に声をかけることがよくあります」

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そんなふうに自分と向き合い続けてきた未来さん。美容との出会いがさらなる気づきを与えてくれたといいます。

「勉強でも仕事でも恋愛でも、なんでも毎日積み重ねていったら、ふわっと報われる瞬間って、あるじゃないですか。特に美容は目に見えてその瞬間がわかりやすいと思うんです。もちろんすぐに成果は出ないけれど、してきた努力は何一つ無駄にならないはず。その経験全部が、自分の自信を確かなものにしてくれます」

「結局は、すべて自分次第」だと続けます。

「自分を好きになれないのは、こんな社会のせいだ、こんな時代のせいだと言われがちだけれど、それでも私には、この世界が美しいものに溢れているように思えるんです。

つい最近も、ハッとすることがあって。それまでは雨の日って憂鬱だな、面倒くさいなと思っていたのですが、ふとAirPodsを耳から外して聴こえてきた雨音の美しさがとても美しくて驚かされました。こうして自然の音にただ耳を澄ます贅沢が味わえる、雨の日って、素敵だなと感じました。嫌だ嫌だと思っていたことも、いいところを一つ見つければ、こんなにも美しいものに変わるんですよね」

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それは、「自分に対しても同じだと思うんです」と微笑む未来さん。

「みんなそれぞれに本当に美しいんです。そして、結局は誰しもそんな自分が好きなんじゃないかなとも思うんです。だから私は、ただそれに気づくためのお手伝いを続けたいと、そう思っています」

rihka
https://rihka.com/